仕事道具

ここでは私が現在使用している造園道具をご紹介します。それぞれ道具の特徴やそれを選んだ理由も記しました。「弘法筆を選ばず」といいますが、造園業界に限らずで良い仕事をされる職人にこの言葉はあてはまりません。通常、良い職人たちは道具に対して強いこだわりを持っています。仕事の良し悪しは道具に左右されるからです。

ここで紹介した品々は私のような庭仕事を生業としている者が選んだ道具ですのでご自分の庭をDIYで作業される方にはオーバースペックのものもあるかもしれません。でも、ここで紹介した道具は多種多様な造園道具の中から吟味厳選したものですので道具選びの際に迷われることがあるならどんなものをどんな視点で選んだらよいか参考になるかと思います。この情報がご自分で庭仕事をされる皆さんの道具選びのお役に立つなら幸いです。

① 三脚

造園の仕事に欠かせない道具の一つは三脚です。これがないと樹木の剪定作業などを安全に行えません。脚立(4本脚)ではなくどうして三脚(3本脚)なのでしょうか?

庭は家の床とは違い平らとは限りません。平らな地面なら4本脚の脚立の方が安定感があります。でも庭に高低差がある場合はぐらついて上に乗った場合にバランスを崩し転倒の恐れがあります。三脚ならそれぞれの三本の足がしっかりと地面に着き安定します。ただ三脚に乗って安全に作業するためには地面に密着するだけでなく、地面に対して垂直に三脚を立てなくてはなりません。それで通常、安全に気を配る造園家なら三脚が真っすぐ垂直に立つように、三脚の各足の下に板などを挟んで高さを調整します。ただ、三脚を置き変える度にこれをやるとなるとけっこう面倒です。何か良い方法があるでしょうか?

私は脚の長さが伸縮して調整できる三脚を使用しています。庭仕事の際には樹木の高さは様々ですので樹木の高さに応じた三脚が必要になります。私は主に3種類(12尺、6尺、3尺/ 1尺:30cm)の三脚を用いていますが、12,6尺の三脚は三本の脚が全て伸縮するものを使用しています。

右から12尺(3.6m)/6尺(1.8m)/3尺(0.9m)    
商品名:アルステップAMP-12 / AMP-6 /AP-3 
     

三脚の足の形は安定させるために土の地面に食い込むように爪状になってます。ただ、状況によってはアスファルトの路面に三脚を建てる場合は接地面が狭くなり不安定になったり食い込んでアスファルトを傷める場合があるのでその際は三脚の脚先にゴムカバーを付けます。

足は爪状になっています。土にしっかりと食い込み支柱の開きを防ぎます

足に被せるゴムカバーです。下底はお椀状になっておりアスファルト、コンクリートなどの平らで硬い地盤に密着し安定させます。                                           

造園用の三脚の他の特色としては三脚の支え脚の上部分に補助ステップ(足置き)があります。これがあるのとないとでは大違いです。三脚の上の段にまたいで乗ることができて作業のし易さや安定感が格段にアップします。もし庭用に購入されるならこれがあるものが絶対お勧めです。

補助ステップ:これは必須。中が格子状になっており滑りにくい構造で下に斜めの支えがあり丈夫な造りです。

造園家が良い仕事をしてお客さんに喜んでもらうのが大切なのはもちろんのことです。でも、それ以前に安全に作業を終えるというのがプロとしての最低条件かと思います。造園業は仕事の性質上高所作業がどうしても求められます。いくら注意していてもリスクが0になることはありません。実際、毎年のように同業者の中で転倒、落下事故により怪我したという話を聞きます。最悪、死亡事故にもつながるものです。もし、そうなったら当人、その家族だけでなく仕事をいただいたお客さんにも多大なご迷惑をかけることになります。それで転倒、落下の要因の一つになる三脚はしっかりした安全なものを選びたいものです。

私はハラックスのアルステップAMP(3本伸縮タイプ)【AP-3は後ろ支柱伸縮】を使用しています。これが今のところベストな選択か「と思います。もちろん値段もそれなりにはします。試しにネットで値段を検索して調べてみてください。恐らく三脚にこんなお金をかけていられないと思うはずです。でもこれは安全に配慮されたとても使いやすい造りになっていて、私は値段だけの価値はあると思っています。

AMP-6: 3本支柱が伸長し最長は210cmほどになります。一番使用頻度が高いサイズです。

AP-3:高さが低いので後ろだけ伸縮で十分安定性があります。

考えていただきたいことがあります。私の様なこの道30年以上やってきたプロでも安全に気を遣っているという点です。なぜか? 怖さを知っているからです。「弘法筆を選ばず」と言います。でも私はそんな名人ではないのでどんな脚立でも安全に使いこなせる自信は全くありません。だから三脚は吟味しこだわって選びました。どれだけ気を付けていても事故は一瞬で起きるものです。特に庭の落下事故の多くは脚立、三脚のぐらつきなどが原因で生じています。事故を完全に防ぐのは不完全な人間にとって無理な話です。でも、起きる可能性を可能な限り小さくすることは可能です。「造園家三脚を選ぶ」のは当然のことかと思います。

こで紹介した三脚は機能だけでなく材料、支柱の太さなど構造的な造りもしっかりしており信頼できます。恐らく一度買えば一生物です。三脚への投資は保険代と思えばそんなに高くはないのではないでしょうか。紹介したものはあくまでも私の主観での他にも色々いいものがあります。この後に紹介する造園道具全てに言えることですが、くれぐれも、中途半端なものを購入し不足を感じてから結局ちゃんとしたものを買い直し「死に金」となったとならないことを願います。どうかご自分の目でしっかり吟味し確かめて質の良いものを購入なさることをお勧めします。

最後に一言、三脚選びは結局は価値観の問題にもなりますね。命とお金どちらが大切でしょうか? 我々プロでも「落ちて怪我することがある」という現実をどうか知ってください。もしお庭に大きな木があって高い脚立に登らなければならないならプロに任せていただくのが賢明です。事故によって生じる代償は余りにも大き過ぎます。

命あってのお金です。親、神様からいただいた命、自分のためはもちろん、愛する家族や友人たちのためにも大切にしたいですよね。造園道具の第一歩は「たかが三脚されど三脚」です。

② はさみ

樹木を切るための道具の主力はです。造園家はたいてい2種類の鋏を腰に下げています。剪定鋏と植木鋏です。剪定鋏は直径0.5ミリ以上の比較的太い枝、植木鋏はそれ以下の細い枝を切るのに用います。大は小を兼ねるので剪定鋏だけで作業はできますが、細い枝先を綺麗に切るにはどうしても刃先が長い植木鋏が必要になります。私は今まで4つの剪定鋏を使用してきました(下の写真参照)。

アルスVA-8Z    アルス120S-8    マルマン佐藤AD-01    岡恒   
 

最近メインで使用しているのはアルスのアンビル式(写真:一番左)のものです。この名前は聞き慣れないかと思いますがアンビルというのは金床という意味で刃が受刃に対して直角にあたり、ちょうどまな板と包丁の原理で枝を切ります。これだと太い枝も楽に切ることができるので手や肘に与える衝撃が軽減されます。切った際に音もほとんどしません。手をいたわるためにも最近はこれをメインに使用しています。難点は刃が薄くて刃こぼれし易いことで小まめに刃を研ぐ必要があります。その右隣の鋏は約30年間愛用してきた鋏で造園家の間では定番の鋏です。質実剛健とはこの鋏にふさわしい表現で刃がしっかりしておりとにかく丈夫で10年程ほぼメンテナンスフリーで使用したことがあります。その右隣はここの鋏の中では一番高価なマルマン佐藤という刃物で有名な山形にあるメーカの銘品でこの中では一番高価な鋏で他の鋏の倍ほどの値段でした。それだけの価値はあり25年程使用していますが刃がこぼれてもしっかりと研ぎ直せる正に一生物ですが、この難点は少し重いことです。ただこれはこの鋏の問題ではなく私の問題ですね。一番右側は岡恒というメーカの鋏でホームセンターでも買うことができます。これを使用している造園家は結構おりユーチューブの動画でもよく紹介されています。日本製で値段の割に品質も安定していてコスパは高いかと思います。ただ、切った後に「カシャン」という甲高い音がして、この音が「切った!」という感じでいいという方もいますが、私は耳障りでいつの間にか使用しなくなりました。これは好みの問題で相性が合う方にとっては名器でしょうね。

次に植木鋏の紹介ですが、私の助手である妻はこれを使う必要は感じないと言い、専ら剪定鋏を使っています。妻は主に私が切った剪定枝の処理をするのが主な仕事でそれでいいのですが、松やモミジの枝先などを切り詰めるにはやはりこれを使わないとうまくいきません。私が使用した中でお勧めを下に2つ紹介します。

    大久保鋏(マルマン佐藤)          千吉SGFP-3

左の写真のものはマルマン佐藤の大久保鋏です。これは30年程同じものを使っており同じものを5つ使用しました。この鋏は刃先が少し短めで重さが適当にありとにかくどんな樹種の枝にも刃先を入れやすいです。植木鋏は芽切り鋏など刃先の長さや柄のかたちが様々で種類が沢山あるのですが、この鋏はどんな樹種にもそれなりに対応できるオールラウンドの鋏で重さのバランスもよくとっても使いやすいです。

最近は右の千吉の植木鋏を用いています。取っ手がグラスファイバーハンドルで180gと軽く女性でも扱い易いので今後のために妻にも強制的に持たせました。刃もフッ素コートしてあり脂もつきにくく、バネがついているので開閉が楽です。これに変えた一番の理由は最近大久保鋏を長時間使用した際に中指が取っ手に擦れて皮がむけて治るのにしばらくかかったことです。この鋏は持ち手の輪が広いのでそんなこともないかと期待しています。そしてこの鋏の色いいですね。艶消しの黒で渋くおしゃれです。まだ長く使っていないので耐久性とかは不明ですが値段は2千円以内で買えて損はないと思いますので今のところ私の一押しです。

鋏は消耗品ですがきちんと手入れをすれば長く使えます。ただ鋏もピンキリで、ホームセンターなどでは数百円のものや百金でも買えますが、すぐ切れなくなって買い直すとなるともったいないのできれば紹介したアルス、千吉などの信頼のおけるメーカーのものを使用されることをお勧めします。

③ 鋸

切る道具として鋏ときたら当然、について紹介しなくてはいけません。今までいろんな鋸を使ってきましたが小型のバッテリーチェンソーを使用するようになってからはほぼ1種類の鋸で済むようになりました。そのオンリーワンの鋸を下に紹介します。

シルキー ゴム太郎プロ剪定(24㎝)

今までいろんな鋸を使用しましたが結局はこのシルキーのゴム太郎に戻っています。ゴム太郎の良いところは名前の通り持ち手のゴムのグリップが鋸のホールド性を高めているところです。これは結構重要な要素で滑る感じだと余計な力が入り疲れます。でもこれはゴムで手にぴったりと吸着感があり持ち手の曲がりの角度も絶妙で本当に切り易いです。刃も厚めでしっかりとしており折れる心配がなく力をしっかり入れることができます。刃には荒目と細めの2種類があって以前は樹木の太さにより使い分けていました。写真のゴム太郎はプロ剪定という刃で見ての通り先端部分が細め、中より根本部分が荒目になっています。これ1つで細い枝先は細めの先端、太い枝は中で切るというように2つの鋸の役割を果たすことができます。付属している鞘の幅は広めで出し入れがし易く鋸が落ちないようにロック機能もついている優れものです。鋸の使いやすさの要素として刃の長さがあります。太い木を切る際には長いストロークで切るので300mmあれば楽ですが私は240mmを使用しています。この長さだと色んな太さに対応でき、鞘から出し入れするのも楽です。

鋸の刃は消耗品なので安全と効率のためにも切れ味が落ちたら早めに交換することをお勧めします。古い刃は根っこを切る際などのために取り分けておくことができますね。

④ 腰道具ベルト

鋏と鋸を身に着けるには腰に巻く腰道具ベルトが必要です。細いベルトだと道具の重さで腹に食い込み痛くなってきます。仕事として高所で作業する際は墜落防止保護具をつけることが義務付けられていますので墜落の衝撃にしっかり耐える強度も必要です。私は藤井電工の林業用のワークベルトを使用しそこに上に紹介した道具を付けています。

一番使用頻度が高い剪定鋏は右側、鋸は左側の手に近い部分にに差します
植木鋏の左はチェンソー掛け金具
藤電工 ツヨロン FC柱上安全帯 林業用

⑤ 墜落制止用器具

2019年2月に労働安全衛生法の改正が行われ安全帯は墜落制止用器具と名前が変更され、高所作業(高さ6.75m以上、それ以下の場合は胴ベルト型の使用も可)で使用する墜落制止用器具は「フルハーネス型」になりました。フルハーネスを用いる業務に従事する者には特別教育の受講も義務付けられています。もしこれを怠って業務に携わった場合は法令違反となり、懲役6か月以下または罰金50万円以下の刑に処せられます。ただ、これは造園業などの建設作業で高所作業を業務としてお金をいただく仕事として行う者に求められているもので一般の方には適用されません。

左:ランヤード(巻き取り式で作業の際はベルトが伸びます、落下の際にはベルトが伸びて止まりショックアブソーバーで衝撃を吸収します) 右:柱上安全帯用ロープ(樹上作業の際に体勢を安全に保ちます)
フルハーネス(藤井電工 TH-564-OT):落下時の衝撃を全身で吸収します。背中にランヤードを装着します。

腰道具ベルトに安全装具を付けたた状況。高所の場合はこれに加えてハーネスを装着します。

法令に従って作業を行うなら上記の装備が必要です。「めんどくさい」、「重いな~と」思われるでしょうか。規制が伴う法律は従うのが大変な時もあります。確かに余分な費用や時間を費やします。もちろん国の法律には従わなければならないという道義的な理由で従うひつようがありますが、それ以外にも従う意味があります。それは法の背後には事故を防止し国民の命を守るといういわば「愛」の理念があることです。そこを考えると犠牲が求められたとしても自分、家族、友人などの支えてくれている愛する人たちのためにもきちんと守りたいと思います。

一般の方がご自分の庭の作業の際にこれを守る義務はなくあくまでも自己責任です。そうだとしても、①三脚の所でお話したように落下のリスクを減らし命を守るためにもご紹介した中で必要と思えるものは是非導入し命を大切にし安心して作業していただくことを願います。

⑥ 草刈り機

草刈り機は造園家にとって必須の道具です。「足元を見られる」という言葉があります。庭が美しくあるためには樹木だけでなくその足元も大切です。いくら綺麗に剪定しても地面が伸び放題の雑草なら残念です。除草は鎌などを使って手で行うこともできますが少し広くなると大変な重労働になりますし綺麗に刈ることは難しいですし普通プロが仕事として剪定を行う際は剪定の付帯作業になりますのでそんな時間はありません。それで草刈り機は造園家の必須の道具です。

通常ホームセンターなどで置いてあるのは20CC程度の排気量の草刈り機です。草刈りを仕事として請け負う造園家は公園などの広い敷地の草刈りをすることがありますので大抵は40CCクラスの草刈り機を所有しています。私はコマツのゼノアBC4410(42CC)という日本メーカーでは一番大きい排気量のものを使用しています。

エンジン式草刈り機(排気量42CC) コマツゼノア BC4410EZ

草を刈るためには機械の先端に刈刃が必要ですが草丈が短い場合はナイロンコードを使用します。ナイロンコードは木の周りや塀などの作工物などの際を綺麗に刈るためにとても便利です。その際には高回転で回す必要があるので20CCCクラスでしたらエンジンがその負荷に耐えられず壊れる恐れがあります。それでどうしても大排気量の草刈り機が必要になってきます。

基本私は一人で草刈り機を使用しますが一台で済むわけではありません。上に紹介した草刈り機は今まで一度もトラブルはないですが、もし不具合が生じて動かなくなったら現場が止まってしまうことになります。プロとしてそんなリスクは負えませんのでどうしてももう一台サブの草刈り機が必要です。私が使用しているのは新宮NX-3600です。BC4410より1kg軽い6.6㎏、排気量は34㏄で7㏄小さいですがこの機械も質実剛健、パワーも耐久性も使用した感じBC4410と同じとは言いませんが安定感抜群で物足りさは感じません。もしメインに何かあってもこのサブで十分対応できるので安心して作業できます。現場の草の伸び状況は場所によって違いがあり1台しかない場合ヘッドをその都度取り換える必要がありますが、メインにチップソー、サブにナイロンと分けて使用すればヘッドを付け替える手間も省け作業しやすいです。

外観はコマツゼノアにそっくり 
新宮NX-3600

草刈り機を使用する際の問題点はその音です。上に紹介した2つの草刈り機は大容量で音も重低音でそんなに甲高いことはないですが、それでもエンジン音は響きご迷惑をおかけすることがあります。その対策として私は一般の民家やマンションなど住宅街ではバッテリー式の草刈り機を使用しています。これは大変な優れものでモーター音で静かなだけでなく、回転も正逆をボタン一つで切り替えることができ草の飛ぶ方向を状況に合わせて刈ることができます。当然排気ガスもでませんし、振動もほとんどなく作業者に優しいです。エンジンはキャブレターの詰まりなどのトラブルを防ぐために燃料を抜くなどのメンテナンスが必要ですがバッテリー式は作業後バッテリーを外せばそれで終わりです。私は36V式コマツゼノアのPW250を使用しています。

バッテリー式草刈り機(36V) コマツゼノア BBC250PW

バッテリー式の草刈り機にも欠点があります。それは長時間の使用が難しいことです。私はハスクバーナの36Vのバッテリー(BLI200X)を使用していますが、満充電で30分程の使用時間です。個人のお宅の庭ならこれくらいの時間で十分かもしれませんが公園などの広い敷地では替えのバッテリーを最低2個と充電器を持たないと対応できません。その際にはどこで充電するかという問題が生じます。またパワーもエンジン式に比べて非力なので長く濃い草を刈る際にはどうしてもエンジン式の出番となります。

36Vバッテリー: ハスクバーナ BLI200X(全天候型バッテリー)

どんな機械にも言えることですがオールラウンドの草刈り機はなくエンジン式もバッテリー式にも一長一短があります。それで状況によって使い分けることが必要で職業として草刈りを行うならどうしてもエンジンとバッテリーの2つの草刈り機が必要になります。

左:右ハンドル上部スイッチ(正逆回転) 右:燃料は混合ガソリン(コマツ2サイクルオイル、50:1で使用)

草刈り機だけでは作業はできません。ハーネス(肩掛けバンド)が必要です。上に紹介した機械を購入した際に付属でハーネスがついていましたがおまけ程度のもので長時間の使用に耐えれるものではなく別にハーネスを購入しました。機械がどれほど良いものでもそれが作業で上手使いこなせないなら意味がありませんのでけちるわけにはいきません。

ハーネスはきちんとした機能、耐久性のあるものを選ぶ必要があります。私はハスクバーナのトリオバランス(下の写真)を使用しています。エンジン式のBC4410は本体だけで約8キロありこの他に燃料や付属の刃などをつけると合計10㎏近くの重量になります。これを持って左右に振り回し何時間も作業をするわけですから肩腰足に大変な負担がかかります。このハーネスは機械の重みを全身にバランス良く配分してくれこのおかげで今もなんとか苦にならずに使いこなせています。

最近助手の妻も草刈り機を使用するようになり軽いバッテリー式のものを練習も兼ねて作業で使用しています。軽いと言っても機械を身体の一部のように使うためにはしっかりとしたものが必要なのでハスクバーナのデュオバランスハーネス(下の写真)を使用しています。

最後に機械の先端に付けるものについて紹介します。ナイロンコードは普通は丸型が一般的ですが私は星形、螺旋状のものを使用しています。それは、音が静かなことと角がついていて切断能力が高いことです。刈刃は昔からチップソーを使用しています。その際にはジズライザー(安定板)を併用しています。

最後に安全な作業をするために必要なものをご紹介します。それは頭を守るヘルメット、飛来物から顔を守るフェースシールド、機械音から耳を守るイアマフラー(耳栓でも可)です。草刈り作業は機械の重さによる重労働というだけでなく飛来物や騒音などが伴う危険な作業ですので安全に作業するために以上の3つの安全保護具は不可欠です。決してて麦わら帽子を被っただけで気楽に鼻歌交じりに作業するなんてことがありませんように。通販でこの3つが一体ものになってるものが販売されています(ハスクバーナなど)ので別々に揃えるよりも値段も安上がりかもしれません。因みに私は自社のヘルメットに合うものを別々に購入して装着しています(下の写真)。作業全てに言えることですが安全は最重要ですのでこれをケチると後々高くつき後悔することになります。例えば飛び石が目を直撃して失明など取り返しのつかないことになりかねません。それで十分吟味し安全基準を満たしているしっかりしたものを購入することを強くお勧めします。

草刈りについても「たかが草刈り、されど草刈り」ですね。仕事としてお客さんからお金をいただける綺麗な仕事をするためには草刈りも機械の他にハーネス、ナイロンコードや刈刃、そして安全保護具も妥協しないでしっかりしたものを選びたいですね。

⑦チェンソー

チェンソーを持っていない造園家は恐らくいないと思います。庭仕事の際は特殊伐採などを行う空師でなくてもどうしても必要な場面が出てきます。法律上チェンソーを業務として使用する際は資格が必要で「伐木等の業務」を行う特別教育を受ける必要があります。

私は現在、エンジン式1台とバッテリ式2台の計3台のチェンソーを持っていますが、メインで使用しているのはバッテリーチェンソーです。ちょっとした枝払いにはマキタMUC254HDZR(18V、ガイドバー:25cm)、太めの幹などを切断する際はハスクバーナT540iXP(36V、ガイドバー:35㎝)を使用しています。これで手に負えない場合のためにエンジン式のコマツゼノアGZ381GZ(ガイドバー:40cm)を予備機として使っています。

   ハスクバーナT540iXP(36V、ガイドバー:35㎝)
  マキタMUC254HDZR(18V、ガイドバー:25cm) ※後ろについているオレンジのひもは伸縮するストラップで腰道具の金具に引っ掛けて使用します 

草刈り機の場合はバッテリー式を持ってはいますが、パワーの面でエンジン式にかなわないので依然としてメインで使用しているのはエンジン式ですが、チェンソーの場合はほとんど上記のバッテリーチェンソー2台を使用しています。私が請け負う仕事では大体この2つのチェンソーで十分作業でき、たまに太い幹を切断する以外エンジンチェンソーの出番はほとんどありません。

エンジンチェンソーの日本の代表的なメーカーであるコマツゼノアでは豊富な品揃えがありますが、私の仕事では大径木の伐採はめったになく、エンジンチェンソーの使用頻度が低いので宝の持ち腐れにならないようにコマツゼノアでは廉価版のチェンソーGZ381GZを使用しています。廉価版といってもパワーは十分ありコストパフォーマンスが高いチェンソーです。もちろん、空師や大径木を伐採することがメインの造園家ではこのチェンソーでは心元なく更に上のグレードのプロ機を数台所有する必要があるでしょう。

  コマツゼノア GZ381GZ(ガイドバー:40cm) 

バッテリーチェンソーを使用するともうエンジン式には戻れません。エンジン式と比べて主に2つの利点があります。先ずエンジン式に比べて音が静かで振動も少なく、おまけに軽量でとにかく作業が楽です。エンジン式のチェンソー音はすさまじいものです。私は気を遣う方なので、エンジンチェンソーを使用する際はご近所から怒鳴り込まれるのではないかと冷や冷やしながら作業したものです。

もう一つの利点は始動が確実なことです。寒い日などはなかなかエンジンがかからなくて作業前に疲れ果てた記憶がります。バッテリー式の場合はボタン一つで確実にモーターが回り安心して作業が始められます。作業後もバッテリーを取り外せばいいだけで、エンジン式のように混合ガソリンをタンクやキャブレターから抜く手間がいりません。

パワー面で大丈夫かという心配ですが、私がメインで使用しているハスクバーナT540iXPは40CCエンジンチェンソーのパワーに相当します。これを購入したきっかけはかつての同僚の推薦でした。この人は農家に育ち子供のころから山に入りチェンソーを使って樹木の伐採を日常としてきたチャンソーのプロでしたが、このチェンソーを使用するようになってほとんどエンジン式は使用しなくなったとのことです。その言葉を信じ私も購入し使ってみたところパワーの面で何の問題もありませんでした。そして、ソーチェンは刃幅1,1mmで細いため食いつきが良くスムーズに切れる本当に優れものです。ただ、バッテリー(36V)の値段が高く、通常は最低2個は必要なため初期投資に充電器も含めると優に10万円を超えてしまいます。でも、混合油を作る費用やメンテナンスの手間などを考えるとエンジン式に比べて長い目で見れば経済的かと思います。

マキタ18Vバッテリー(BL1860B)   ハスクバーナ36Vバッテリー(BLi200X)

最近、高枝の先にチェンソー(ガイドバー:25㎝)がついたポールソー(ハスクバーナ530iPT5)というものを購入しました。これはチェンソーと同じバッテリーが使用できます。これを使用することで高さ5メートルまでの高さの枝は三脚などに乗ることなく下から作業できますので安全かつ楽に伐採作業をすることができます。

ヘッジトリマーとは生垣や樹木などの刈込をする電動機械のことです。もちろんちょっとしたものなら刈込鋏で十分仕事ができます。今まで色んな刈込鋏を使用しましたが、今使用しているのは下の写真の刈込鋏だけです。

写真:アルスKR-1000(軽量で刃の隙間の調整がネジで調整でき緩み防止の機能もあり使い易いです)

でも、長めの生け垣やオンコやツツジなどが大きいものや数が多くなると刈込する際には手間がかかり過ぎるので機械の助けは有り難いですね。私はマキタの18V使用の2種類のトリマーを樹種や大きさに応じて使い分けています。小さめのツツジなどにはマキタMUH365D、大きめのオンコや長めの生垣の刈込にはマキタMUH500Dを使用します。両方とも同じ18Vバッテリーを使用しますが、ただ刈り幅が違うだけでなく機械的にも全く別物です。MUH500Dは3段階に刃の速度が調整でき(MUH365Dは無段階調整)、パワーはMUH365Dが細かい枝をちょこちょこ刈り込むに対して、ちょと太めの枝も楽々と切断します。

写真上:マキタMUH365D    写真下:MUH500D(左と同じ18Vでもパワーは別もの) 

ヘッジトリマーを使用する利点はただ仕事が早く楽なだけではありません。生垣を刈り込む際には特に幅が長くなればなるほど綺麗な直線で刈り込むのは難しくなり刈込鋏ではどうしても歪みが出てしまいます。その点ヘッジトリマーをきちんと使用すれば綺麗な直線でに刈り込むことができます。直線だけでなく玉造や自然形のオンコや玉型のドウダンツツジなどもヘッジトリマーを使用すると綺麗な曲線で刈り込めるので本当に重宝です。

ただ、全てヘッジトリマーで刈込できるかと言うとそうではなく、最後の仕上げに関してはどうしても刈込鋏が必要になる場合があります。95%はヘッジトリマーで行い、残りの5%は刈込鋏で仕上げるという感じです。

ヘッジトリマーは便利な刈込道具ですがいくつかの注意点があります。高速で刃が交差する機械であることを忘れないでください。つまり危険な機械だということです。うっかり指などを挟んだり、振り向いた拍子に隣の作業者の身体に接触させたら大変な大けがや命の危険があります。常に周囲の状況に注意を払い、きちんとした身体のポジションを保って慎重に作業する必要があります。もう一つは技術面ですがいきなり深く刈り込むとあっという間にその部分が穴になってしまうことがあります。その穴を調整しようとして刈込を続けた結果最後にはライオンの尻尾のようになってしまったら悲しいですね。それで一回で仕上げようとしないで、上から様子を見ながら少しづつ刈り込むようにしてください。

最後に重要なことをお話します。機械道具全てに言えることですがヘッジトリマーを使用した後は必ず綺麗に清掃しましょう。ヘッジトリマーは刃に樹木の脂が付いたままにしておくと脂が変色しこびりついて取るのが難しくなり切れ味が格段に落ちてしまします。私は使用後にレンジ用の洗剤で固めの歯ブラシを用いて一つ一つの刃の汚れを擦って落とした後、水道の水で刃をゆすぎ、刃の水分をプロワー(タオルで拭いても良い)で飛ばして乾燥させ、最後に刃の部分にシリコンスプレーかけて刃を軽く動かしてシリコンを馴染ませて保管しています。

ブロワーとは空気を送り込む機械で主に庭掃除に使います。今、これを使用しない造園家はいないというくらい庭仕事には必須の道具になりました。これがあると庭掃除が本当に楽になります。庭というのは樹木が綺麗にさっぱりしてもその下の地面が綺麗じゃないと締まらないものです。特にブロワーが威力を発揮するのは砂利の上の清掃です。砂利の中にオンコなどの小さな葉っぱが落ちている場合それを箒で綺麗にするのは至難の業で剪定する時間より清掃作業の方が時間が掛かってしまうことになりかねません。ブロワーを使用すると石の間に入り込んだ葉や枯れ枝などをあっという間に飛ばして綺麗にしてくれます。それで剪定の作業が終わって大まかに清掃した後に最後の仕上げとしてブロワーで庭の地面全体を掃きこむとスカッと仕上がって庭が締まります。

私はマンションなどの民間の住宅地での仕事では騒音をできるだけ抑えるために大小2種類のバッテリーブロワーを使用しています。大きいのは枝葉などを大雑把に集めるのに使用し、小さい方は樹木の根本などの細かい部分の清掃に使用しています。

写真:コマツゼノアBHB250P 36V  (風速は無段階で調整できます。パワーがある一方で弱風も出せる)
写真:マキタUB185 18V(風速は3段階、微調整もできます。先端には庭仕事用のガーデンノズルを付けています)

広い草刈りの現場などではバッテリーブロワーでは非力で役に立たない場合があり、その際はエンジンブロワーの出番になります。私はコマツゼノアのEBZ7500(下の写真)を使用しています。以前勤めていた造園会社でこの機械の威力を目の当たりにしていた私としては特別の愛着があり自営で造園業を始めた際に購入した最初の造園機械がこれでした。買った後で私が関わる現場では使用する機会が滅多にないということに気づきその時は少し後悔しましたが出番は少ないとはいえ必要な時に大きな働きをしてくれる頼もしいやつです。

EBZ7500は国内で販売されているブロワーの中で最強と言われており、風力はバッテリーブロワーとは桁違いで塵を飛ばすだけでなく刈った草をまとめて飛ばすことができます。地面やアスファルトに貼りついた濡れた草、葉などもこれを使用すると簡単に綺麗に吹き飛ばすことができ、雨天など様々な状況での集草作業が格段に楽になります。ただ難点は音でバッテリーブロワーと比べて桁違いに大きいため特に住宅地で気安く使用できる代物ではありません。また重さも約10㎏あり女性が背負うには大変かと思います。今のところこの機械の出番は私の郊外の作業置き場周囲の草刈りと年に数回行う官庁敷地の草刈りで働いてくれています。一般の方でも騒音に対して隣家の理解があり道路に面している広い敷地の草刈りが必要な方にはお勧めです。これを使用すると集草や掃きこみのためのレーキや箒がいらなくなり格段に楽に綺麗に集草掃きこみ作業ができます。

コマツゼノア エンジンブロワー EBZ7500

ブロワーは清掃の時間短縮に役立つ便利な道具ですが注意点もあります。それは埃です。注意しないと土埃を舞い上げてしまい作業している自分の目にゴミが入って眼科に直行なんてこともありますので必ず防護メガネ、ゴーグルの着用が必要です。また、お隣に埃の塊が飛んで行き洗濯物が汚れてご迷惑をおかけするなんてこともありますのでいきなりブロワーを全開で使用しないで埃の飛び具合を見てから慎重に使用することも大切です。便利なものには必ず負の面もありますので使用の際はその点どうぞご注意ください。

樹木を剪定する際にメインで使用する道具は剪定ハサミと鋸です。大きな木になると三脚が届かなかったり樹冠(樹木の枝の先端を結んだライン)に手を伸ばしても届かない場合があります。その際には高枝切りがあれば安全に剪定作業を行うことができます。私が用いている高枝切りは主に2種類です。先端の細い枝を切るための仕上げ用の高枝鋏(俗称:チョッキ)と太い枝をきるための伸縮式のチェンソー(通称:ポールソー)です。

チョッキ(アルス 150-3.0-5D)は1.5~3.0mまで伸縮できます。切った枝は落ちないように挟むことができますので枝を後で落とすのに苦労するという手間が省けてとても便利です。難点は太い枝を切ることは難しいことですがその際はポールソーを使用します。

ポールソーは高枝切りの先端にチェンソーが付いているものです。この道具は安全に作業するためにとても便利です。チェンソーを持って三脚に登ってする剪定作業には多くの危険が伴いますが、これを使えば三脚に登らなくても地面に足を付けて安全に剪定作業ができます。ただ難点はこれとっても重いです。私の所有しているポールソーは4mまで伸ばせますがそこまで伸ばすとテコの原理で腰が支点になってしまうので腰を痛める恐れがあり使用する際には足元に注意しながら腰をしっかり入れて作業しなければなりません。結構気を遣いますが三脚からチェンソーを持ったまま落ちる(経験済み:今生きているのが不思議)よりはましなので有難い道具です。あまり道具は増やしたくないのですが安全、命には代えられないので導入し剪定作業の際にはチョッキとポールソーは必ず持参するようにしています。

ハスクバーナ 530iPT5(25㎝チェンソー刃)

ご紹介したポールソーはハスクバーナのプロ用のものですがマキタ製など他のメーカーで軽く使い易くお手頃なお値段の機種も色々ありますのでご自分のお庭の用途に合ったものを選んでください。上記の道具を用いても剪定できないような樹木は高所作業車を使用することになりますがほとんどの場合これで対応できるかと思います。安全に楽に剪定作業を行いたい方には特にお勧めの道具です。