強剪定

剪定といっても色々な程度があります。枝を切り詰める度合いの順に弱中強に分けるなら最大限まで小さくするのを強剪定と言います。 強剪定は一年中いつでもできるわけではありません。なぜかと言うと剪定という行為は樹木自体が維持している今のベストの状態を人為的に変えることを意味していて、樹木にとっては余計なお世話です。強剪定は最大限のストレスを樹木に与えることになります。つまり人間の都合で勝手に無理なことを樹木に強いるわけですからこちらもそこを思いやり可能な限り樹木にとってストレスが少ない時期を選んで剪定してあげなくてはなりません。

その時期はいつでしょうか? 冬です。特に落葉樹の場合は晩秋に葉を落とし冬期間は根から吸い上げる水の量も最低限で活動はごくわずかでエコモードになっており冬眠しているような状態です。その状態ならバッサリ切り落としても樹木にとってはストレスは少なくすみます。

逆に剪定する際に最も樹木にストレスを与える時期はいつかというと、それは夏です。夏の時期は樹木内に蓄えられているエネルギーを発散して枝葉を最大限に伸ばしています。その状況からこれから消費したエネルギーをいっぱいに開いた葉を通して樹木内に回収しようという時にバッサリと枝葉を切られてしまうならどうなるでしょうか。樹木は大変なダメージを受け一気に弱り病気にかかりやすくなったり、下手をすると枯れが入ってしまう場合があります。ですから、夏場の剪定は樹木にとって危険な時ですので剪定する際はできるだけ軽めの弱剪定が望ましいのです。

ここで確認しておきたいのは冬季には強剪定を行うのが良いということではありません。もし、強剪定を行う必要があるなら冬季が他の時期に比べて樹木に与えるダメージが少ないということです。どんな時期においても剪定は樹木にとっては不都合なもので必ず樹木にとっては大なり小なりストレスになるものです。ですから、冬季に強剪定を行う際にもなるだけ木にストレスを与えない、傷みが少ない切り方をしなければなりません。それがどんなものか実際の写真を下に紹介します。強剪定のイメージをつかんでいただける助けになれば嬉しいです。

ハンノキの大木です。隣の駐車場敷地に枝が越境しており枝折れなどで車を破損させる危険があるので自分の敷地内に収めるためにどうしても強剪定が必要です。見ての通り雪が主枝の元くらいまで積もっていますので使用する脚立も大きいのは必要なく剪定し易いです。枝には少し膨らんだ芽がついて切るポイントもわかりやすく剪定するには適期です。

枝先を1.5~2mほど切り詰めました。機械的にラインで切ってしまうとぶつ切りになりそこから腐朽菌が入り枯れる危険があり、また見た目も固い不自然な樹形になってしまいます。それで、切り詰める際には枝先に主枝に沿った外向きの細い枝を残すように切ります。先端の枝が細く主枝に沿っているので、全体的に柔らかさが残っていることに注目してくだい。

枝はどう切ったらよいのでしょうか?基本的に枝の太細に関係なく切り方には基本があります。枝分かれしているところのラインに沿ってよく切れる鋏や鋸を用いてスパット綺麗に切ることです。切断面がきれいだと切り口の治りも早いので腐朽菌(木を枯らす細菌、これが樹木内に一杯になるとキノコが表皮から出てきます)の侵入も最小限にとどめることができます。一般では切り口が大きい場合はそこに殺菌剤や癒合剤を塗るよう勧められていますが私見では余り効果がないばかりかかえって治りを遅くしたり阻害してしまうように思えるので私は一切使用しません。動物も樹木という植物も自然治癒力が備わっていますのでそれに任せて余計な小細工はしないのが一番と思います。それよりも枝を切る際には正しい角度で綺麗に切ることの方が大切です。基本的な剪定の仕方を写真に説明を加えて記しましたので参考になさってください。

剪定の輪郭ライン

強い剪定ですので可能な限り枝の長さを切り詰めます。その際は、樹冠の内側の枝分かれを見て可能な限り幹に近い枝別れの部位の仕上がりが貧相にならないところで切ります。その際には樹幹の全体に目を向け枝がラインを結ぶ枝があるのか全体に目を向け剪定のプランを立てます。そこが基準となり下から上に向かってラインを意識して(赤ライン)切り上げていきます。(樹木の幹の頂上の枝を決めてから順に下に下がっていく方法が一般的ですが、私は写真のように下から上に向けて切り上げます。その方が枝の流れが見えて切るべき部分が見えやすいです。また切った枝を落とす際にそれが下の枝に引っかからないので作業がスムーズに進みます。その際に仕上がりのラインを想像してそのラインに近い外向き枝を見つけます。ラインより長い場合はライン上の付近の枝の外芽の部分で切ります。ラインより外側の場合はそれが目立って不格好ですが、目は枝先を結んだ線をラインとしてみますのでラインより内側であれば多少短くても気になりません。

枝の基本的な切り方

枝先に注目してください。枝の先端には細い枝で仕上がっています。枝先の枝のライン(青ライン)と元の枝の切り口のライン(赤ライン)が一致した直線で平行になっています。もし、枝元の切り口がこれより長く残ってしまうと切り口の組織が盛り上がりそこをふさいで直そうとしても、その中途半端に残った枝が邪魔して塞がらなくなり、そこから腐朽菌が入り枝を枯らしてしまう恐れがあります。そして、時の経過と共に腐朽菌は主枝から幹に侵入して結果として樹木本体を枯らしてしまうことになります。でも、このように正しいラインで切ると切り口は癒合組織(カルス)に囲まれ綺麗に塞がり治って腐朽菌の侵入を留めることができます。細い枝に関しては外芽(芽が外向きについている)の部分で切ります。

強剪定は枝の量を多く減らすのでダメージが大きいため可能な限り冬季に行うのが好ましですが、特に桜は切り口が治りにくくデリケートと言われていますので強剪定する際は冬に限ります。下は上記で紹介した考え方で強剪定した実例をご紹介します。前後を比較してどこで切っているのかに注目してください。

家側に伸びており壁を傷つけるおそれがあるので家との間隔を余裕をもってとるために強剪定する必要があります。

かなり小さくなりました。枝の切り方は先端に細い枝が残るように仕上げて切り口も枝のラインにそろえていす。

冬期間の強剪定の利点を最後にお話します。それは、枝の処理が楽であることです。冬以外は枝に葉がついているため葉が邪魔して枝の輪郭が見にくいですが、冬は葉がないので枝ぶりがはっきりと見えて剪定し易いです。加えて枝を片付ける際にも枝に葉がなく、特に冬場は根から水を吸い上げる量が少なく枝の比重も軽いので片付けの手間も比較的楽です。更に、虫もまだいないといいうのもいいですね。

結論として樹木は生き物なのでいきなり極端に小さくするのは大きなストレスをかけることになり木を弱らせてしまうのでお勧めしませんが、どうしてもバッサリと小さくしなくてはならない場合は強剪定を冬場に行い、正しい位置で枝を丁寧に切るということを覚えておいてください。

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