木の植え方

これから木の正しい植え方を説明します。この前お話ししたように木の生命力は凄くて、死にそうな木を適当に植えても根付いてしっかり生きるので「恐れずに植えましょう」とお話ししました。ただ、どうぜ植えるなら枯れるリスクが限りなく0に近く、永く健やかに育つような植え方をしたいですね。これから木が喜ぶ植え方をご紹介します。その例として紹介するのは、庭の主役となるシンボルツリーとしてお勧めするナツツバキ(2.5m 株立ち)の植栽手順です。これは私流の植え方で、一般的な植え方とは違う部分も多々あり他の造園家の皆さんからそこは違う、自分ならこうする、というご意見もあるかと思いますが、そうする根拠も記しましたので一つの考え方として参考になれば嬉しいです。

1. 植穴掘り: 十分な大きさの植穴を掘る

植えるナツツバキの根鉢の大きさは幅45㎝、高さ25㎝。植穴は大きさは幅は根鉢の2倍、深さは根鉢の高さよりも最低15㎝必要です。その基準でこの植穴は幅100㎝、深さ40㎝。土壌は粘土質の植栽には不都合な土のため黒土を客土(植栽に適した良質の土)を入れました。

2.植え床の土入れ:

客土(黒土)を植穴の中央に入れる。まずこれをしないと、後では根鉢の下に土を入れにくいため、根鉢の下に空間ができてそこの根が乾く結果、樹木の生育不良を招く恐れがある。この土を入れるおかげで樹木の向きを調整しやすくもなる。

3.据え置き1:筵を解く

根鉢を覆っている筵は解く。根鉢の崩れを防ぐために解かずにこのまま植える場合もあるが、根の伸長や根鉢と客土との活着などを考えると可能な限り解くことが望ましい

4. 据え置き2:位置決め(樹木の向き、傾きを決める)

根鉢の幅が45㎝、植穴の幅は100㎝。もちろん植穴の幅は広ければ広いほど良いが、植え付けに客土を使用する際は掘り出した土の処理が大変なので、1.で説明した基準の植穴が適当。

5. 土入れ:

客土を植穴と根鉢の周りに入れる。この際に水極めと言って、土を植穴に半分ほど入れた後に水を注ぎ、土を泥のようにぐちゃぐちゃにして木を揺すりながら土と根鉢の間の隙間を埋める植え付け方法があるが、私はそれが嫌い。理由は土をこねることによって土が後に固まって根の伸長の妨げになる恐れがあるから。もちろん根鉢の周りに隙間が生じるのは良くないが根鉢周りはできるだけ柔らかい状態が望ましい。

6. 根鉢固め:根鉢周りの土を適度な硬さに固める。

根鉢の周りの土を固める際に、足の踵でガンガン踏みつけて固めるのが一般的だが私はしない。理由は5.で説明した通り根の成長にとって硬い土は良くない。土には空気、水が通るための適度な隙間が必要。土木は固く固めるのが基本だが造園はその逆。もちろん、緩すぎて木が倒れては困るが、適度にふんわりと植えるのが好ましい。そこに作工物と生き物の違いがある。

7. 水遣り:

植え付けの際の水遣りは『木が腹を壊すほど水をたっぷりやれ』とか言われるが、水遣りの方法は植え付けの時期によって変わってくる。この場合は植え付けの時期が秋(10月中旬)で葉が紅葉しており、樹木は余り水を欲しないので大量の水は必要なくむしろ害になるので上呂で10リットル程で根鉢と土を密着させるだけで十分。

8. 水遣り後の追い土:

この部分は結構重要。水遣り後には水の通り道ができ、そこから空気が入り根が乾く恐れがある。根鉢の上に客土をサラッとかけてその通り道を塞ぐ。

9. 鉢の仕上げと水鉢の形成:

根鉢の表面を成形し周りに水鉢(根鉢の外周部分を土手のように盛り上げて水遣りの際に周りに水が逃げないようにし、根株の外周の根に水が浸透するようにする。

10. マルチング:根鉢の保護と美観

可能ならマルチングをお勧めします。写真のマルチング材は黒松の樹皮。これを敷くことによって根の乾燥を防ぐ。雑草防止にもなる。土と接触している部分は少しづつ腐食し土に返り適度な肥料となる。見た目も美しく樹木が引き立つ。ただし、幹と接触させないように注意する。

11. 完成:

庭のシンボルツリーとして完成! 根の生育と見栄えのために高植(根鉢の上面を地際より高く植えること)ぎみに植えました。支柱は基本的にしない。木が多少揺れ動くことで根はそれを支えようとしっかり根を張ろうとする。適度な刺激が必要(この点はまたどこかで話します)。

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